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- レシピ紹介 -

第十三回 海鮮浅草揚

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 少し前にお刺身の残りを翌日利用するお話をしましたが、もう一手全く違った料理法を御紹介しましょう。
 要は残った刺身を細かく刻んで薬味と一緒に粗いミンチ状にして味付けをした物を板海苔に挟んで衣をつけて油で揚げるという料理です。
 お刺身の種類はなんでも良いと思いますが、魚に合わせた薬味の使い方を色々と考察してみますと意外と面白く楽しい作業になることでしょう。
 例えば青魚が多い様なら生姜を強めに葱も利かして大葉紫蘇を刻んで入れてみるとか、ほんの数滴酢を入れてみるのも悪くないと思います。
 お刺身はその日によって烏賊が多めに余ったとか、今日は鮪が人気なかったね、等残り方もその日その日で違ってくるでしょうから鮪、烏賊、甘海老、平目等の白身等その割合比率もその都度差があり、そういった材料を使うのですから極端な事をいえば前回は鮪だけだったが今日は烏賊だけ、等という様な事もある訳で言ってみれば全く違う材料を同じ方法で料理するという事ですので前述の様に薬味や味付けに工夫をする必要がある訳です。特に烏賊だけの様な場合は薬味、味付け以外にも注意点がありますのでそれについては後ほど詳しく記します。

 今回は鮪と白身魚。それに烏賊が少し残った様な事を想定してやってみたいと思います。
 先ずはとにかく細かく刻んで下さい。白身や烏賊は弾力がありますので手を切り易く注意が必要です。その後包丁で叩きます。色々と角度を変えながら細かく叩き、時々上下をひっくり返したら尚叩きます。少しつぶが残る様な粗ミンチ状になったらボール等の容器に移して下さい(フードカッター等あればそれを御利用いただいたらよろしいかと存じますが、細かくし過ぎに御注意あれ。その場合は口当たりがパサパサして味が一段落ちる様な事になってしまします)。

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 後は薬味ですが、今回は葱、生姜、胡麻、胡椒、茗荷でいきます。葱はところどころに切れ込みを入れておいてから小口より刻みます。茗荷も葱同様に刻んで下さい。胡椒はパウダーの市販の物で結構です、一般的な白胡椒が良いと思います。胡麻は煎り胡麻を指先で軽くひねって下さい。こうしますとすり胡麻と違って噛んだ時に口中に香りが広がります。今日は白身もありますので葱や生姜も柔らかく香る位が良いと思いますので少し薬味は控えめにして下さい。味付けは塩、醤油が良いでしょう。先にボウルに入れた魚肉に塩をして軽く揉む様に混ぜます。その後醤油も入れて混ぜ込んで下さい。

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 この時点で味を見て下さい。この時に美味しいけどほんの少し味が濃い(しょっぱい)かな・・・いや丁度いい位かな・・・と迷う位の味がいいと思います。後は酒をほんの少々風味付けです。片栗粉を少し(入れ過ぎは禁物)、溶き玉子を少々(残ったたまごは衣の時に使います)入れます。ここで良くこねる様に混ぜて下さい。最後に薬味を入れてもう一度良く混ぜたらタネの完成です。

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 あとは海苔を四つに切ってタネを真中にのせ、天ぷら衣をつけて揚げるだけですが、海苔で挟んで時間をおきますと海苔が溶けることがありますので揚げる前に挟んだ方が間違いがないと思います。
 そしてあまりころんとした太い巻き方をせず、こんな少しでいいのかな位のタネの量で挟んで下さい。揚げるとふくらんでいい加減になります。

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 今日の料理に限らずですが、天ぷら衣も揚げる直前に溶く様にして下さい。従ってお皿に天紙を引いて盛りつける準備を整えてからネタを海苔で巻いて、最後に衣を作ってすぐに仕上げにかかる様にしますと段取り良く進行致します。
 天ぷら衣は先の残った溶き玉子に冷水を注ぎ、そこに粉ふるいにかけた上質の薄力粉を入れて太いはしか泡立てを使い、勢い良く混ぜるのではなくなるべく粘りが出ぬ様にさっくりと混ぜます。油の温度は175℃位でしょうか?海苔で挟んだタネを衣にくぐらしてそっと油に入れて下さい(強火)。一度に沢山入れず3~せいぜい5ヶ位までで一度揚げ切ってまた3~5ヶ位と何度かに分けてやると良いでしょう。

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 油にタネを入れてからは一旦温度が下がった分回復するまでは極力強火で後は火を徐々に細めて下さい。この揚げ物は存外時間がかかると思います。ミンチという性格上どうしても空気が中に入ってまして、それが断熱材の様な働きをして火の通りが悪くなるのだと思います。竹串か爪楊枝などを用意しておいて頃合いを見計らいタネの一番太そうな所に奥までしっかり刺して2~3秒経ったら抜いてすぐに唇の下に当ててみて下さい。熱っと思ったらもう大丈夫。ほんのり温かいならもう少しです。万一冷たかったら未だ全然生でしょう。こうして確かめたら揚げていきそれぞれ切り方を工夫して切り口を見せたり、隠したりして美味しそうに盛りつけて下さい。出来れば揚げたてが美味ですがもし冷めてしまってから食べる事が分かっている様な場合はタネの中にマヨネーズを少々、砂糖を少し入れると良いと思います。マヨネーズの油分が冷めて固まるのを防ぎ、砂糖の甘みが味の変化を抑えるでしょう。ただし砂糖の入れ過ぎは厳禁です。
 高温で加熱する「揚げる」という調理法は素材の香りを立たせます。海苔の香り、魚の香りが一体となって食欲をそそる、そういった狙い処の料理です。そういう意味で刺身の残りが出なくとも、冷凍でも結構ですので海老で作られますと非常に海苔との香りの相性も良く大変な御馳走となるでしょう。薬味は玉葱、胡椒、味付けは塩だけをお勧めします。海老はもちろん生にこした事はなく、三河湾で揚がった赤社海老等でしたら言う事はありません。冷凍海老なら殻付きの出来ればホワイトと呼ばれる物か車海老が良いと思います。ブラックタイガーは色が赤く出ますが、味は今一つでむき海老に至っては味も香りも全然駄目で苦労して料理しましても出来上がりは期待できません。出来るだけ良い材料でされる事をお勧め致します。
 さて、先程後述しますとお約束しました烏賊の注意点につきましてですが、烏賊の種類による多少の差異がありますが、すりつぶしが完全になればなるほどぷっつりと固い仕上がりになります。この感じも悪くはないのですが、烏賊の種類によって香りや食感が安っぽくなってしまう場合があります。そしてすりつぶしが不安定であればこれまた違った意味で固すぎて歯が立たぬ様な場合もあります。従って烏賊の場合は他の物を少し混ぜるといいと思います。例えば豆腐はどうでしょう。朝から豆腐を適当な大きさに切って茹でて布巾で包んで重しをかけて十分に水切りをしておきます。これを細かくして烏賊の身に豆腐1/2位の割で山芋の下ろした物少々、玉子少々、片栗粉少々、葱、胡椒、塩で味を付け、先の要領で仕上げれば良いと思います。いずれにしましても香りを大切にしたい料理ですので油はなるだけ新しい物をご使用下さい。胡麻油を少し混ぜる事などは大いに結構な方法であるといえます。

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